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第35回公演 新作能【麦溜】-モルトウイスキー物語-

第35回公演 新作能【麦溜】-モルトウイスキー物語-

平成20年2月3日(日) 午後2時開演 (1時開場)
国立能楽堂
裏面のPDF情報(ダウンロード)

―神遊メンバー完全オリジナルの新作能 ―
 
無駄な物を全て削ぎ落とした能
大自然の恵みを映し出すシングルモルトウイスキー
ともに凝縮された中に生命を吹き込むと感動と豊かな時間が生まれる。
 
派手な仕掛けはなく、純粋に現行曲(能)の形態に則った新作能です。
※お陰様をもちましてこの公演は無事、好評に終えさせていただきました。
ご来場いただきました皆様、ならびに、御協力いただきました数多くの方々に、
心より御礼申し上げます。     神遊一同

協力:ウイスキーマガジン・ライブ!2008 

ウイスキーマガジン・ライブ!2008(2月10日(日)東京ビックサイト)に神遊がゲスト出演
新作能「麦溜」の一部(舞囃子)をご覧頂きました。 (当日の様子 

●番組 (プログラム)●

・能 【乱  置壷 双之舞】(みだれ おきつぼ そうのまい)

シテ(猩々)観世喜之
シテ(猩々)観世喜正
ワキ(高風) 森常太郎
笛・一噌隆之 小鼓・観世新九郎 大鼓・柿原弘和 太鼓・観世元伯

後見 長沼範夫 角当直隆
地謡 古川充 佐久間二郎 小島英明 長山桂三 谷本健吾 川口晃平   


・狂言【素袍落】(すおうおとし)

シテ(太郎冠者)山本東次郎 アド(主)山本泰太郎 アド(叔父) 山本則直

解説 「麦溜」について―神遊

―休 憩―

・新作能【麦 溜】(ばくりゅう)

シテ(老人・麦溜の神) 観世喜正
子方(天人) 観世結子・観世絢子
ワキ(酒職人) 森 常好
アイ(酒職人の使用人) 山本東次郎
アイ(酒職人の使用人) 山本泰太郎

後見 観世喜之 佐久間二郎 小島英明
地謡 山崎正道 馬野正基 角当直隆 長山桂三 谷本健吾 川口晃平 

新作能 
原作・節附・型附・作調:神遊(一噌隆之 柿原弘和 観世新九郎 観世元伯 観世喜正) 
校閲・補綴 中村健史(京都大学大学院文学研究科博士後期課程在学中)

●あらすじ● 
・「乱」
ところは中国。揚子の里に住む高風という親孝行な男(ワキ)は、夢のお告げを受けて 酒を売り富を得た。いつも必ずやってきては酒を飲んでいく客がいるので、名を尋ね ると海中に住む猩々だと言う。
ある月の美しい晩に酒壷を置いて待っていると、 酒好きの妖精・猩々(シテ)が波間に現れる。猩々は舞を舞い、高風の親孝行を褒め、 汲めども尽きぬ不思議な酒壷を与えてやがて消えてゆく。
今回は「猩々(しょうじょう)」という能の常の舞の部分が「乱(みだれ)」という緩急自在な舞となり、 酒壷の作り物を出して二人で舞う特殊演出。
波の上で猩々が酒に酔い、 軽やかに戯れ遊ぶ様をみせる不老長寿を寿ぐ祝言の曲。 

・「素袍落」
伊勢参りを思い立った主人は、同行を約束していた伯父を誘うよう太郎冠者を使いにやる。
急な誘いで準備もできないので伯父は断るが、太郎冠者に門出の酒を振舞い、祝儀の素袍を与える。
土産の心配が面倒なので祝儀を受け取るなと厳命されていた太郎冠者だったが、主人には内緒でと言われて大喜び。 すっかり上機嫌となって千鳥足で帰る途中、大事な素袍を落としてしまい…。 

・「麦溜」(原作)
舞台は十八世紀、イングランドに併合されたスコットランドの山奥。酒職人(ワキ)は 重税による日々の苦しいウイスキー造りを嘆き、再び安穏に暮らせるようにと神に祈る。
そこへ清き水源の祠を守っているという老人(前シテ)が現れ、私の言う通りに酒を造れば 必ず栄えるであろうと言い残し、樽開けの時に再び現れる事を約束して祠の陰に消える。
 <中入> 教えに従い久しく年を経たある日、酒職人は祠にて樽を差し出す。
すると中から麦溜の神(後シテ)が現れ、今日までの酒造を褒め、ウイスキーが人々の心を 和らぐる徳を語る。
これこそ神の恵みを受けた命の水なのだと言い、酒職人と共に最後の 仕上げをする。古樽からは高らかに薫りたつが如く天人(子方)が舞を舞い、麦溜の神はこれからの天下泰平、 万民幸福、五穀豊穣を約束し、人々に酒を与えて明け方の雲間へ香りと共に消えてゆく。 

※中国を舞台にした「乱」、日本を舞台にした「素袍落」、スコットランドを舞台にした新作能「麦溜」と、  どれもお酒がでてくるお話です。

第36回公演 徹底解剖!能 ろうそく能 葵上
~能、初めての方、歓迎します~

第36回公演 徹底解剖!能 ろうそく能 葵上

平成19年7月29日(日) 午後2時開演 (1時開場)
宝生能楽堂
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能楽が初めての方にも楽しんでみていただける、神遊の徹底解剖!能シリーズ。
毎回ご好評をいただいている演者によるわかりやすい解説と、能楽囃子による【源氏物語組曲】とともに、今回は狂言と能をろうそくの灯りでご覧いただきます。
2008年の源氏物語千年紀に、人気曲「葵上」を小書(特殊演出)、空之祈(くうのいのり)でおたのしみください。
 
●番組 (プログラム)●

・解説 観世喜正
源氏物語を題材にした能には何がある?
能「葵上」のみどころ
能面と能装束

能楽囃子【源氏物語組曲】
笛・一噌隆之 小鼓・観世新九郎 大鼓・柿原弘和 太鼓・観世元伯 

(午後7時半頃)
<休憩> 
ろうそく火入れ

狂言「狐塚」(きつねづか)
シテ(太郎冠者)高澤祐介
アド(主人)三宅近成
アド(次郎冠者)三宅右矩
後見 前田晃一

能「葵 上 空之祈」 (あおいのうえ くうのいのり)
シテ(六条御息所の生霊・鬼女)観世喜正
ツレ(巫女・照日の前)古川充
ワキ(横川小聖)宝生欣哉
ワキツレ(朱雀院の臣下) 大日方寛
アイ(臣下の従者) 高澤祐介
笛・一噌隆之 小鼓・観世新九郎 大鼓・柿原弘和 太鼓・観世元伯
地謡 浅見重好 上田公威 遠藤喜久 鈴木啓吾 小島英明 桑田貴志
後見 奥川恒治 山中牙(しんにょうに牙)晶 

(終演午後9時頃予定)

●あらすじ● 
能「葵上」
舞台上に置かれる一枚の小袖が本曲タイトルの葵上で、懐妊中に原因不明の病に伏せる姿をあらわす。
巫女(ツレ)に呼び出されてゆらゆらと登場する妖艶な女性、六条御息所の生霊(前シテ)が主人公。
光源氏の正妻・葵上への嫉妬に狂い、魂だけが遊離した状態の御息所の生霊の姿は、実は巫女の目を通してしか見ることのできない世界。
能ならではの演出方法が捉えようのなくそこはかとない恐怖を生み出す。
葵上の容体が急変し、法力をもつ横川小聖(ワキ)が祈祷をすると、鬼の形相に姿を変えた御息所の霊(後シテ)が現れる。
先の東宮妃という高貴な身分で、その理性の高さ故に生霊となってしまった悲しい心を描く

甲宗八幡宮 御鎮座1150年大祭記念 能舞台披き「薪能」

甲宗八幡宮 御鎮座1150年大祭記念 能舞台披き「薪能」

平成20年10月14日(火)18時30分開演 (20時30分終了予定)
会場:北九州市門司港 甲宗八幡宮 境内能舞台
裏面情報(新しいウィンドウで開きます)

●番組 (プログラム)●

・神歌 
 翁 観世喜之  千歳 山口剛一郎
 地謡 坂口信男 森本哲郎 久保誠一郎 今村一夫 
・解説 観世喜正

・狂言 末広かり 
 シテ (果報者)野村祐丞
 アド(太郎冠者) 野村万禄
 小アド(すっぱ) 吉良博靖  
 後見 宮永優子
 笛 一噌隆之 小鼓 観世新九郎 大鼓 柿原弘和 太鼓 観世元伯 
《休 憩》
・能 石 橋 大獅子
前シテ(老人・白獅子)観世喜正
後ツレ(赤獅子) 小島英明
ワキ(寂昭法師)坂苗 融
間(仙人)野村万禄
笛 一噌隆之 小鼓 観世新九郎 大鼓 柿原弘和 太鼓 観世元伯
地謡 角寛次朗 坂口信男  森本哲郎
  久保誠一郎 山口剛一郎 今村一夫
 
●あらすじ● 
素謡「神歌」(かみうた)
天下太平・国土安穏・五穀豊穣を祈念する能の代表曲「翁」を謡だけで上演する。 舞台披きの露払いとして儀式性を高める。

狂言「末広かり」(すえひろがり)
主人(果報者)は、客のおもてなしに末広がり(扇)を贈ろうと思い、太郎冠者を都へ使いに出す。末広がりが扇の別名だとは知らない太郎冠者は、騙されて傘を買ってきてしまう。主人は怒るが結局最後には太郎冠者の傘を使ったおかしな歌と舞で円満に解決する。 

能「石橋 大獅子」(しゃっきょう おおじし)
寂昭法師は唐・天竺に渡り、諸所を拝みめぐる。文殊菩薩の浄土であるという清涼山にいたる。有名な石橋を前に、来かかる人に詳しい話をきき、橋を渡ろうと待ち受ける。そこへ、一人の老翁が現われる。いわく、この橋は人間が架けたものではなく、自然と出現して対岸に届いた橋で、その幅一尺足らず、苔むして滑りやすいうえに、渡ろうとすれば目がくらみ、千丈の谷底へ落ちかねないという難所であり、人間の身では渡れるものではない、と。人智を超越した神仏の加護を得た者でなければ、渡ることはかなうまい、それでも渡ることを欲するならば、ここで、菩薩の奇瑞が起きるのを待つがよい、橋の向こうは文殊の浄土なのだから、と言い残し、老翁は姿を消した。やがて、文殊菩薩に仕える霊獣・獅子が荘重な囃子によって現われ、今を盛りと咲き誇る紅白の牡丹の花に戯れつつ、勇壮に舞い遊んでは御代を寿ぐのであった。 
 小書(=特殊演出)「大獅子」がつく今回の舞台では、後シテの白獅子がツレの赤獅子を伴って登場し、親子獅子の心で相舞となる。牡丹を立てた一畳台が出、これが獅子の遊ぶ深山を表す。獅子はこれに上り下りし、あるいは頭を振るなど、常の能の舞とは異なる所作が随所にみられる。また、白頭の親獅子は重々しく、赤頭の子獅子は敏捷に舞い、相舞ではあるがその対照的な趣がおもしろい。獅子の頭の紅白と牡丹の花の紅白が目にも鮮やかな、祝言の気分に満ち満ちた、祝賀の場にまことに相応しい能である。 

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