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第33回公演 十周年記念特別公演【卒都婆小町】

第33回公演 十周年記念特別公演【卒都婆小町】

平成19年2月24日(土) 午後12時30分開演 (12時開場))
宝生能楽堂
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此度、神遊は十周年を迎えることが出来ました。偏に皆様方の御支援によるものと厚く御礼申し上げます。
懸命に稽古をし舞台に挑んだ苗木の二十代。数々の舞台と先輩方に支えられ経験を積んだ若木の三十代。そしてその木の花を咲かせることが出来るか、大切な四十代へといよいよ突入します。漲る力を外ではなく内に向け、能楽と向き合ってゆきたいと考えております。花を咲かせるには太い幹と空に伸びる枝々、陽の光も水も必要です。皆様方の厳しい目、諸先生方の御力添え、その中でしっかりと根を張り、真直ぐに伸びて行きたいと思っております。
今後とも更なる叱咤激励の程、宜しく御願い申し上げます。 神遊一同

◆番 組◆
舞囃子「融 酌之舞」
 観世銕之丞
 笛 一噌隆之 小鼓 観世新九郎  大鼓 柿原崇志 太鼓 観世元伯
狂言「鱸包丁」
 シテ(伯父)野村萬斎  アド(甥)高野和憲 後見 深田博治
一調「放下僧」
 観世喜之   小鼓 曽和正博
「卒都婆小町」
 シテ(小野小町)観世喜正 ワキ(旅の僧)森 常好 ワキツレ(従僧)森 常太郎
 笛 一噌隆之 小鼓 成田達志  大鼓 柿原弘和
 後見 観世喜之 五木田三郎
 地謡 観世銕之丞 浅井文義 岡田麗史 柴田稔
     弘田裕一 駒瀬直也 中所宜夫 奥川恒治

(あらすじ)
狂言「鱸包丁」(すずきぼうちょう)
伯父(シテ)の仕官の宴席にだす鯛を求めてくるように言われていた甥(アド)は、用意をしていなかったので獺(オソ・かわうそ)が食べてしまった、と嘘をつく。
嘘を見抜いた伯父は、ならば口先だけでもてなして追い返そうと、鱸料理の様を仕方話をし、最後には鯛を獺が食べたように、鱸はホウジョウ(法定・嘘)という虫が食べてしまったので帰れと叱る。

能 「卒都婆小町」(そとばこまち)
高野山の僧(ワキ)が都への途上、摂津国阿倍野の辺りを通りかかると、一人の乞食老婆(シテ)がやってきて、百歳に老いた自分の身を嘆きながら、道端の朽ち果てた卒塔婆に腰掛ける。僧が卒塔婆は仏体であるといって咎めるが、老婆は素直には聞かず、かえって僧の問いかけに仏法の奥義で反論をする。まことに悟った老婆であると僧は感心し、頭を地につけ三度礼拝をすると、老婆は「極楽のうちならばこそ悪しからめ そとは(外は・卒塔婆)何かは苦しかるべき」と戯れ歌を詠んで茶化す。僧が驚いて名を問うと、自分は小野小町のなれの果てであると明かして今の境涯を嘆くが、そのうち狂乱状態になって僧に物乞いをする。これは小町に恋慕して九十九夜通ったあげく、悶死した深草の四位の少将の怨霊が憑いての狂乱であった。小町は烏帽子と長絹を身につけた少将の装いで百夜通いの様をみせるが、やがて我にかえり、花を仏に手向けて、真の悟りを開こうと願う。
いわゆる<老女物>とよばれる曲の中でも、前半の問答、後半の狂乱と変化に富んだ見ごたえのある一曲にゲストを交えて神遊が挑戦いたします。

第34回公演 復曲能【箱崎】
写真・観世清和 (撮影 林義勝)

第34回公演 復曲能【箱崎】

平成19年7月29日(日) 午後2時開演 (1時開場)
宝生能楽堂
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神遊  第34回公演では、復曲能「箱崎」に挑戦します。
復曲能「箱崎」は世阿弥の代表作の一つとされながら、永らく上演が途絶えていた曲で、 観世流26世宗家・観世清和師が復曲し、平成15年に初演されました。
(当時、神遊の囃子方メンバーの一噌隆之と観世元伯も、一部復曲作業に携わらせていただきました。)
吹きわたる松風と潮騒の音が混じり合って「四徳波羅密(しとくはらみつ)」(菩薩の四つのすぐれた特質)の音を奏でているという聖地・筥崎宮を舞台にした、とても美しい曲です。
観世清和宗家の指導・監修のもと、神遊が上演に挑みます。


≪復曲能【箱崎】をもっと楽しむために!≫ ガイド掲載  ぜひご覧ください

◆番 組◆

・「箱崎」解説・鼎談 ― 増田正造&神遊
  
狂言【瓜盗人】(うりぬすびと)
 シテ(男)山本東次郎  アド(畑主)山本則孝  後見 遠藤博義

―休憩―

能【箱 崎】(はこざき)
シテ(里の女/神功皇后)…観世喜正
ツレ(里の女)…谷本健吾
ワキ(壬生忠峯)…森 常好
ワキツレ(従者)…舘田善博 森常太郎
アイ(所の者…山本泰太郎 
笛 一噌隆之 小鼓 観世新九郎 大鼓 柿原弘和 太鼓 観世元伯 
後見 山階彌右衛門 武田尚浩 遠藤和久 
地謡 武田宗和 岡久廣 関根祥人 浅見重好
    中所宜夫 藤波重彦 馬野正基 藤波重孝

(午後4時45分頃終演予定)

◆あらすじ◆ 

狂言「瓜盗人」(うりぬすびと) 
毎晩畑の瓜を盗まれるのに業を煮やした畑主(アド)は案山子(かかし)を立てる。 
ところがすぐに盗人(シテ)に見破られ、案山子は壊され瓜もまた盗まれてしまった。怒った畑主は案山子のふりをして夜番をすることに。 
そこへやってきた何も知らない泥棒は・・・。
(囃子アシライの入る狂言です)
能「箱崎」(はこざき)
ところは筑前国・秋の筥崎宮、延喜帝(醍醐天皇)に仕える歌人・壬生忠峯(ワキ)が筥崎宮に詣でたところ、月の夜、松の下を掃き清める里の女たち(前シテ・ツレ)に出会う。
里の女は、戒定慧の三学の妙文(経文)が入った金の箱を神功皇后が松の下に埋めたことから箱崎の名がついたことを語り、忠峯にあとでその箱を見せると約束して姿を消す。(中入)
やがて神功皇后(後シテ)が現れて、箱から経巻を取り出して忠峯に見せながら、天女の舞を舞い、箱は再び松の下に納まる。

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